地震とは、地下の岩盤が周囲から押されることによってある面を境としてずれる現象のことをいいます。この岩盤のずれが起きると地震波が周囲に伝わり、やがて地表に達すると地表が「揺れ」ます。私たちはこの「揺れ」で、地震が地下で発生したことを知ります。
地震は地下の岩盤がずれて起こるものです。地震が発生したときの岩盤のずれ(断層)が生じた領域のことを震源域と言います。一般的に震源域はマグニチュード7の地震で数十km程度、マグニチュード8の地震で100〜200km程度、マグニチュード9の地震で500〜1000km程度です。なお、震源は岩盤のずれが始まったところを指すのに対し、震源域はそのずれが地震波を周囲に発しながら広がり、最終的にずれ破壊を生じた領域全体を指します。
地震は、地下の岩盤が周囲から押されることによってある面を境としてずれる現象のことをいいます。このずれを断層といいます。通常、地層は水平に堆積しています。地震による岩盤のずれによって、この層を断ち切るためにこのように呼ばれています。断層は面的な広がりがあり、断層面といいます。震源の深さが地表に近くなると断層が地表にまで現れることがあり、兵庫県の淡路島の野島断層や岐阜県本巣市の根尾谷断層が有名です。
通常は地表に現れている断層と認められる地形のうち、最近の地質時代(第四紀以降:最近約170〜200万年)に活動し、今後も活動しそうな(=地震を発生させるような)ものを活断層といいます。
世界中の地震の発生場所を見ると、細長く帯状に配列しています。この帯がプレートとプレートの境界に相当し、世界は10数枚の主なプレートで隙間なく覆われています。地球の半径約6,400kmに比べて、プレートは、厚さ10〜100km程度の板のように見えるので、英語で板を意味するプレート(plate)と呼ばれています。それぞれのプレートは動いていて、その境界ではプレートどうしが衝突したり、一方のプレートの下にもう一方のプレートが潜り込んだり(沈み込んだり)しています。そのときにプレートにかかる力が原因となって地震が発生します。なお、プレートの中央部ではほとんど地震は発生していません。
大きな地震(本震)が発生すると、直後から大きな地震が発生した場所付近で無数の小さな地震が発生します。これが余震です。余震は大きな地震の直後ほど発生数は多く、時間が経つにつれだんだんと減っていきますが、一ヶ月以上、あるいは数十年以上にわたって続くものもあります。
余震は、本震の時の断層運動によって生じた破壊が徐々に静まる過程で発生していると考えられています。余震は本震の断層に沿って発生し、余震の発生している場所を余震域といいます。
関連リンク
・余震とは?
地震の分布図を描くと、周辺には地震活動があるものの、その部分だけ地震が起こっていない(あるいは、比較的静穏な)ところが現れる場合があります。これを空白域と呼びます。空白域には大きく分けて2つの種類があります。
海溝型の大地震の震源域を地図上に描くと、それぞれは重なり合うことなく、海溝に沿って並ぶ性質がありますが、これらの震源域の間に隙間が見られることがあります。このような場所は、最近長い間大きな地震が発生していないものの、大地震が発生する可能性を秘めている場所と考えられ、これを第1種空白域と呼びます。
何が間欠泉が起こるようになり
被害をもたらすような大地震はまれにしか発生しませんが、より小さな地震は、人体に感じないような微少な地震を含めて、日常的に多数発生しています。このような日常的に発生する地震の数がある地域で一時的に低下し、その後その地域で大地震が発生するという現象が見られる場合があります。このような日常的な地震発生数の低下現象を、地震活動の静穏化と呼び、その現象が現れた地域を第2種空白域と呼びます。
このように、地震が発生していない地域を全て、地震の空白域と呼んでいるわけではありません。
一般的に「直下型地震」は、都市部などの直下で発生する地震で、大きな被害をもたらすものを指すことが多いようですが、「直下型地震」に地震学上の明確な定義はありません。
地殻内で発生する浅い地震の規模は、海溝付近で発生する巨大地震に比べて小さいことが多いのですが、地震が発生する場所が浅く真上の人が住む地域に近い場合があるため、マグニチュード6〜7程度でも大きな被害をもたらすことがあります。
1年間の平均では、 USGS(アメリカ地質調査所)によれば以下の表のとおり発生しています。
世界の地震回数(1年間の平均)
マグニチュード | 回数(1年間平均) | 備考 |
---|---|---|
M8.0以上 | 1 | 1900年以降のデータによる |
M7.0 - 7.9 | 17 | 1990年以降のデータによる |
M6.0 - 6.9 | 134 | 1990年以降のデータによる |
M5.0 - 5.9 | 1,319 | 1990年以降のデータによる |
M4.0 - 4.9 | 13,000 | 推定値 |
M3.0 - 3.9 | 130,000 | 推定値 |
また、日本及びその周辺では、以下の表のとおり発生しています。
ここで、海亀は、自分たちの生活のほとんどを生きていない
日本及びその周辺の地震回数(1年間の平均)
マグニチュード | 回数(1年間平均) | 備考 |
---|---|---|
M8.0以上 | 0.1(10年に1回) | 1996年〜2005年の気象庁の震源データをもとに算出 |
M7.0 - 7.9 | 2 | 1996年〜2005年の気象庁の震源データをもとに算出 |
M6.0 - 6.9 | 17 | 1996年〜2005年の気象庁の震源データをもとに算出 |
M5.0 - 5.9 | 123 | 1996年〜2005年の気象庁の震源データをもとに算出 |
M4.0 - 4.9 | 895 | 1996年〜2005年の気象庁の震源データをもとに算出 |
M3.0 - 3.9 | 4,073 | 1996年〜2005年の気象庁の震源データをもとに算出 |
世界のほぼ1/10の地震は、日本周辺で発生していることが分かります。
地震の大きさはマグニチュードで測ります。しかし、地震情報の中で用いているマグニチュード(M)は、地震波の最大振幅だけで求めており、一般に大きな規模の地震になると、次第に規模の通りに大きくはならない性質(マグニチュードの飽和)があります。このような飽和を避けるため、地震波の周期と振幅の情報を用いて求めるマグニチュードであるMw(モーメントマグニチュード)で測った記録によると、西暦1900年以降では、1960年5月22日に南米チリで発生したMw 9.5の地震です。この地震の震源域の長さは1,000kmにも及びます。また、津波が約1日かけて太平洋を挟んだ日本にも来襲し、大きな被害をもたらしました。 アメリカ地質調査所による、1900年以降に発生した地震の規模の大きなもの上位10位は次のとおりです。(2011年3月15日現在)
遠洋水は深海である
1900年以降に発生した地震の規模の大きなもの上位10位
順位 | 日時(日本時間) | 発生場所 | マグニチュード(Mw) |
---|---|---|---|
1 | 1960年5月23日 | チリ | 9.5 |
2 | 1964年3月28日 | アラスカ湾 | 9.2 |
3 | 2004年12月26日 | インドネシア、スマトラ島北部西方沖 | 9.1 |
4 | 2011年3月11日 | 日本、三陸沖 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」 | 9.0 |
1952年11月5日 | カムチャッカ半島 | 9.0 | |
6 | 2010年2月27日 | チリ、マウリ沖 | 8.8 |
1906年2月1日 | エクアドル沖 | 8.8 | |
8 | 1965年2月4日 | アラスカ、アリューシャン列島 | 8.7 |
9 | 2005年3月29日 | インドネシア、スマトラ島北部 | 8.6 |
1950年8月15日 | チベット、アッサム | 8.6 | |
1957年3月9日 | アラスカ、アリューシャン列島 | 8.6 |
モーメントマグニチュード(Mw)で比べると、1900年以降では、2011年3月11日に発生した「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(Mw9.0)です。
日本で地震が発生しないところはありません。小さな規模の地震は日本中どこでも発生しています。また、ある場所で過去に大きな地震が発生していたとしても、地表に痕跡(活断層など)が残らないことがあります。このため「この場所は大きな地震が絶対ありません」と言えるところはありません。
日本の国内で、この場所は大きな地震が絶対起きません、といえるところはありませんが、地震の際、自分が住む地域にどんな危険があるか、地盤の強さはどうかを知っておく、建物の耐震強度を調べる、家具を固定する、など日頃から備えることで被害を減らすことが出来ます。
地盤のゆれやすさの詳細な資料や地域の防災マップ等については、各自治体にお問い合わせ下さい。
関連リンク
・内閣府 災害被害を軽減する国民運動のページ:減災のてびき
・内閣府 地震のゆれやすさ全国マップ
常日頃の備えとして、地震が起きる前に家具の固定、寝室には倒れるおそれのある物を置かない、懐中電灯やスリッパを手探りで探せる位置に置いておく等の準備が必要です。避難場所も事前に確認しておくことが重要です。
地震時には、あわてずに、まず身の安全を確保することです。具体的には、頭を保護し、大きな家具からは離れ、丈夫な机の下などに隠れるなどにより身の安全を確保しましょう。火の始末は揺れが収まってからあわてずに行いましょう。
揺れが収まった後は、火の始末をし、地震に関する情報をテレビ・ラジオ等で確かめ、隣近所に声を掛け合って、避難します。避難は徒歩で、荷物は最小限にしましょう。
また、海岸付近で強い揺れを感じた場合は、すぐに津波が来襲することがありますので、津波警報や津波注意報の発表を待たずに速やかに高台などに避難することが重要です。
1923年9月1日の関東地震や1703年の元禄地震は、M(マグニチュード)8クラスの海溝型の地震で、200〜400年間隔で発生すると考えられています。この前の地震が1923年の関東地震(関東大震災)ですので、この種類の地震については、まだ切迫性はないと考えられています。
この関東地震などのM8クラスの地震の間に、ひとまわり小さなM7クラスの地震が数回発生しており、これらの地震も、関東地震や元禄地震ほどではないにしろ、被害をもたらしています。これらの地震は特に80年間隔で起きているということではありません。(下表(地震調査研究推進本部「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価」より作成)参照)。
地震調査研究推進本部による相模トラフ沿いの地震の長期評価では、南関東にこれらのM7クラスの地震が発生する確率は、過去に発生したM7程度の地震の発生回数などから今後30年間で70%とされており、中央防災会議でも首都直下地震を想定した被害の推定や対策が検討されました。
南関東で発生するM7程度の地震の発生頻度等の推定に用いた過去の地震活動
地域名 | 発生年月日 | マグニチュード |
---|---|---|
東京湾付近 | 1894年6月20日 | 7.0 |
茨城県南部 | 1895年1月18日 | 7.2 |
茨城県南部 | 1921年12月8日 | 7.0 |
浦賀水道付近 | 1922年4月26日 | 6.8 |
千葉県東方沖 | 1987年12月17日 | 6.7 |
関連リンク
・地震調査研究推進本部 相模トラフ沿いの地震活動の長期評価
・内閣府防災情報のページ 首都直下地震対策
気象庁が地震につけた名称は「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」です。また、この「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」によって引き起こされた災害 に対して、政府がつけた名称が「阪神・淡路大震災」です。
気象庁が命名した地震の名称は「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」です。この地震によって引き起こされた災害に対して、政府として「東日本大震災」と呼称することとしました。
気象庁では、顕著な大地震や豪雨などが発生した場合、名称を統一することにより応急対策活動等に資するとともに、将来に記録しておくべく資料として記憶に残すよう、災害を引き起こした地震等の「現象」について命名しています。
地震については、以下のような複数のおよその目安をもって、わかり易いように、「元号(西暦年)」と「震央地名」を用いるなどにより命名しています。
1.地震の規模が大きい場合
陸域: M7.0 以上(深さ100km 以浅)、かつ最大震度5 弱以上
海域: M7.5 以上(深さ100km 以浅)、かつ、最大震度5 弱以上または津波2m 以上
2.顕著な被害(全壊100棟程度以上など)が起きた場合
3.群発地震で被害が大きかった場合
ただし、必ず「震央地名」を用いるものではありません。例えば、平成19年7月16日の新潟の地震の震央地名は、新潟県上中越沖ですが、その後の余震の発生状況は震源域が中越沖に限定されていることから、「平成19年(2007年)新潟県中越沖地震」と命名しました。
命名の目安として「震央地名」を用いるのは、地震の震源または震央を連想できることが地震を命名する場合に重要な要件であり、震央地名はそれを満足できる要素であると考えているためです。
また、気象庁では発生した「地震」に対して命名していますが、地震により発生した「災害」に対しては政府が別の名称を付けることがあります。
例えば、気象庁が命名した「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」による災害は、政府として「阪神・淡路大震災」と呼称したり、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」による災害は、政府として「東日本大震災」と呼称したりするなど、それぞれ地震を指す場合と災害を指す場合とで使い分けられています。
関連リンク
・顕著な災害を起こした自然現象の命名についての考え方
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